日本漢方養生学協会

今、なぜ漢方なのか古来の哲学「漢方」を知る。

健康とは

健康とは何か

人は誰でも、健康に暮らし、天寿を全うしたいと願うものです。健康と長寿への願望は、いつの時代にも、人々の強い関心を集めてきました。
特に中国では、不老長寿への憧れが非常に強く、その長い歴史を通じて様々な知恵と方法が積み重ねられてきました。
また医学というものが生まれた時期を歴史的にたどってみると、東洋においても西洋においても、ほぼ同じように紀元前400年頃までさかのぼることができます。まさに病を治すというテーマは、洋の東西を問わず、人類の歴史の上で常に人々の関心を集めていたと言えるでしょう。

健康とは、「心身ともに快適に生きる」という言葉でいえば分かりやすいと思います。 それは規則正しい、自然に沿ったリズムで生活ができ、食事・運動・休養などの生活要素のバランスが無理なくとれている状態であり、そして精神的にも安定しており、思考・感情・意欲が自己コントロールできている状態であると言えます。

このように心身のバランスがとれた状態にあれば、自ら生命力が満ちあふれ、また積極的な考え方ができますから、その人の持つ能力が十分に発揮され、自己実現の道をしっかりと歩んでいくことができます。
まさに生きる喜び、仕事をする喜びに満ちており、したがって幸福であり、他の人にもプラスの影響を与えていくことができるのです。さらに言えば、素直に大自然の素晴らしさ、美しさに感動することができ、生きていることの有り難さに心から感謝できる状態であるとも言えるでしょう。
それが、健康であるということの基本的な概念です。1946年にWHOが公にした世界保健憲章の前文には「健康とは単に疾病や虚弱でないということだけではなく、肉体的、精神的ならびに社会的に良好な状態である」と書かれています。ところが、それに対して今の自分の状況を振り返ったときに、そうでない自分がいるとしたら、どうでしょう。特に具合の悪いところがあるわけではないけれども、かといって「健康です」と断言できない、仕事にしても心身の調子にしても、気持ちよく生きていない、ということを自覚しているとしたら、その人はいわゆる「病気」ではないとしても、中途半端な状態であるわけです。

健康状態の4つのパターン

そのような健康状態を分類すると、健康人、半健康人、半病人、病人というように4つに区分けすることができます。

健康人とは
毎日の仕事も楽しくできて、食べるものもおいしい、夜もぐっすり眠れる、体もすっきりしている、という滞りのない状態です。すなわち、先ほども述べたような健康であるということの概念に当てはまる理想的な状態といえるでしょう。
半健康人とは
不自然な環境条件の中でやや不摂生な生活を続けており、生命力も低下気味です。あるいは精神的・肉体的なストレスを抱え込んでおり、ちょっとしたことでイライラしたり、クヨクヨしたりします。また疲れやすく、何事にも根気が続きません。したがって能力が十分に発揮できず、不完全燃焼感、あせり、不満などで、マイナスな考え方に陥りやすくなっています。特にこれといったはっきりとした症状はないけれども、食欲不振であったり、頭が重い・肩がこりやすいなどの軽い自覚症状が現れはじめ、疲労がとれないなど、すっきりしないという状態です。このレベルでは、生活状況を正して根本的な養生(=生命を養う工夫)をすれば、また健康を回復していくことができます。しかし、気のせいだなどと言って放っておいて、そのままの状態を続けていけば、病気側への転落も容易に起こり得る状態です。今日、周囲を見回せば、このような危ない状態で暮らしている人が大半なのではないでしょうか。
半病人とは
不摂生な生活を続けてきた結果として、生命力がかなり低下している状態です。そして具体的な症状、たとえば頭痛・肩こり・めまい・便秘・下痢などが断続的に続いているけれども、はっきりとした病名を特定できるような器質的疾患を見いだすことはできない、という段階です。いわゆる不定愁訴症候群と呼ばれるものが、この範疇に属するものといえます。このレベルでは、単に生活状況を正して養生するだけではなく、場合によっては適切な治療や投薬が必要になることもあります。この段階で健康回復への努力を怠り、処置を誤れば、さらに症状は悪化し、ちょっとしたきっかけで病人になってしまいます。
病人とは
明確に病名がつく状態です。この病人は、さらにその程度により、軽度・中度・重度の3段階に分けられます。軽度の病人とは、なんとか日常生活を続けることができますが、はっきりと病名がつき、症状も慢性化しはじめている段階です。しかし正しい治療と根本的な養生をすれば、比較的早期に回復することができるレベルであるともいえます。中度の病人とは、病状が進行して症状も慢性化しており、ときどき床につかなければならない状態で、日常生活にもかなり支障をきたし始めています。正しい治療を継続し、養生をかなりしっかりとしなければ治癒しないレベルです。重度になると、症状もかなり進行して、ほとんど床についていなければならない状態です。場合によっては入院加療が必要にもなり、もっぱら集中的に治療をしなければならない段階です。

健康を回復・維持し、より増進するためには、まず自分が今、どのようなレベルの健康状態にあるかを認識する必要があります。健康人・半健康人・半病人・病人のどの範疇にあるかをとらえることにより、どのような養生あるいは治療が必要であるかを知り、それを日常生活の中で実践していくことが大切です。
健康だという人は気持ちよく生きていますし、病気だということになれば治療を行わなければなりませんから、はっきり自覚せざるを得ません。
ところが実際には、健康でも病気でもないという中途半端な人が多く、日本人の大人の7割から8割くらいがそういう状態で暮らしているだろうとさえ言われています。自分は健康だという人でも、実は気づかぬうちに半健康人から半病人へさしかかっているという場合もあります。
健康だといいながら突然倒れてしまう例も増えていますから、安心していられません

健康は自ら築くもの

病気ではないと言われたけれど、実感では健康とは言えないという人を見ていると、健康に向かっているというよりは、いずれ病気になっていくという下降線をたどる場合の方が多いのではないでしょうか。また半健康状態にある人自身も、その中途半端な状態のままで、自分は病気のほうに向かっているのではないかという不安を抱きながら生きている場合が多いわけです。
ところがそう思いながら、一方では、病気になったら病院へ行けばいい、と多くの人々は思っているのではないでしょうか。すなわち治療を受ければ治るだろうというわけです。

そのように受け身に考え、病気になるのを待っているのではなく、積極的により健康になっていくという方向へ向かうためには、どうしたらいいのでしょうか。そこで自分自身による自分自身のための健康管理ということが必要になってきます。そして自分の生活を見きわめて正していくための方向性と、その方法さえ知っていれば、誰でも健康に向かうことができるのです。

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